川場移動教室大おはなし会 議事録

7月22日(土)@北沢タウンホール

 

◆(男性)

  世田谷の〇○と申します。○○業を営んでいます。校長先生たちにレクチャーをした時の反応を教えていただけますか。

 

●(小豆川先生)

 教育委員会サイドからの要請を受けた形で校長研修会をやっているんですけれども、初回、3年前ですかね、その時は、だいぶ聞いてくださいました。ああ、そういうことになっているのね、大変だね、じゃあ、こういうことはちゃんと引率の先生にも周知しなきゃいけないね、という風におっしゃって下さった先生の割合が多かったように思います。

 3年経ちますと、半分くらいの先生の方々がお休みに…。お休みと言うのは、「そこに来ていない」という意味ではなくて、「夢の中」ということです(会場ざわめく)。 

校長先生は入れ替わると言っても、この話をもう何度も聞いていらっしゃる先生もいらっしゃいまして、そうですね…今まで学校でその話題が出たことのない学校の校長先生の方がお休みになられる確率が高そうな気がします。そんな気がします(会場ざわめく)。

 ただ、最近、よかったなと思いますのは、教育委員会の方々か、だいぶ人事異動で変わりまして、この手の話にフレンドリーに対応して下さるような方になったので、より校長研修会のイントロと言うか、頭出しの時にも、ちゃんと聞いてね、と振って下さいますので、それはだいぶ雰囲気としてはありがたいと思っています。

 

◆(女性)

 娘が5年生で、9月に川場です。それで参加しようかどうか、すごく悩んでいます。マス掴みというのがあって、宿泊施設の池に鱒を放流して掴んで食べるらしいんですが、鱒は測っているんでしょうか。あと、その池は大丈夫なのか、すごく不安です。

 

●(小豆川先生)

 今年の数値はないんですが…確か、あの魚って川場村の中で育てたものじゃなくて…確か片品村です。確か、村内の生の川魚は確か…出荷できなかったような記憶があるんですが…違いましたっけ。魚種にもよりますが、確か制限がかかっていたような気がします。

 水に関して言えば、どこの水も、セシウムが検出されるような場所は、群馬県含めてほとんどないはずです。水の中にセシウムが見つかるというのは、福島原発周辺の小川だったら見つかりますが、離れている所は、生の川の水からは、ないと思います。

 

◆(女性)

 同じく小5で10月に川場です。気になるのは林檎です。飯盒炊爨のカレーに入れたり、リンゴ狩りに行ったり、アップルパイも出ます。林檎に関して、林檎の農園について教えてください。

 

●(小豆川先生)

 ちょうど、ぜひ皆さんとディスカッションしたいところなんですが、昨シーズンの福島市内で生産されていた林檎で大体2ベクレルです。2です。で、川場の2年前の林檎で、2ベクレルくらいです。皆さんどう思いますか?私はどちらが良いとも、悪いとも思いません。

 ちなみに、今日お配りしている資料の中に、まさに2ベクレルの林檎を皆さん、食べますか?食べませんか?という話を東大生に振った話を書いています。

 私は放射線の授業をやっているので、学生はみんな計算はできるんですよね。じゃあ、それ買う?食べる?というディスカッションを見守ったという話題ですので、よろしければそちらもご覧になってください。

 では、それも含めて、どう思いますか? 基準値は100ベクレルです。大体の今の川場の林檎は1から2ベクレルだと思います。青森県の林檎を昨シーズン測ってみましたが、ほぼ検出されることはありませんでした。僕たちは、本気でみつけていきますが、それでもなかなか見つかりませんでした。長野もそうでした。そういった状況の下で、みなさんどうですか。どなたか口火を切れるかたがいたら、ぜひご意見伺いたいです。

 

◆(女性)

 すごく難しい問題だと思います。私達は、東京という消費地にいるので、8割くらいは消費者目線です。これが例えば北関東に実家があったり、住んでいたりすると、自分や周りやお隣さん、ちょっと仲のいい方が農家さんだったりとかすると、そうするとまた違った考えだったりするんじゃないかなと思います。

 で、2ベクレルの林檎を私は食べるか食べないか…私自身だったら、んー、どのくらいの分量が出るかを考えて、剥いてみたりして…いただくことはあるかも知れません。私の娘もこれから川場に入って林檎ジュースを飲んだりしますけれど…行っておいでって…出すと思います。難しい所ではあります。

 

(小豆川先生)

 ちなみに、情報としてですが、スクリーニング検査と呼ばれる、「これを出荷して良いかどうか」という基準からした場合、2ベクレルは検出されないはずです。僕みたいに、所謂あら探しのような検査をした場合、2はみつかります。 つまり…出荷を止めなければならない100に対しては圧倒的に低い値であることはある程度担保されています。でも、あら探しをすると2という数字は見つかってしまいます。どうでしょうか。

 

◆(女性)

 世田谷に住む4歳児の食事を作っています。私は食べません。青森の林檎とそれ以外の林檎も売っていますから、当然、青森のものを選んで買っています。 林檎を食べる目的として、コンポートにして、ペクチンを大量に摂らせるようにしているんですね、2011年以降。そのペクチンを摂る意味も、私の中では、腸の中のお掃除をしたいかなと思っていて、そのために敢えて2ベクレルの林檎は摂らなくても良いかなと。多分、どれだけ気をつけていても何がしか2ベクレルだと、5ベクレルだの、どこかで食べてしまっているんですね、子どもでも。だったら、選べる時には、セシウムの入っているものは、選ばないようにします。

 

◆(男性)

 まずは先ほどの守る会の発表を聞いて、お母さんたちが非常に熱心にやって、教育委員会とのやりとりを聞いて、すごいなと感心しました。ところで川場移動教室を実施している根拠が、群馬の大学の先生で東京とアメリカとの往復の時の被ばく線量との比較を根拠に、教育委員会は移動教室を続けていると聞いたんですけどね。そのことをどう理解して許容していったら良いのかなと、思っています。

 

●(小豆川先生)

 今の話も、林檎と似ているところがあって、やっぱり事実として、飛行機に乗った時の被爆量も高いのです、これも事実だと思います。川場に3日滞在することと、国内線一回分かな、被爆量だけで言えば、とんとんだと思います。私そういう計算をガリガリするのが好きなので、きちんと…実は僕は飛行機の中に線量計を持ち込んでちゃんとみているのですけど、高度があがって、シートベルトのサインが消えて、大体5分後から線量って上がってくるんです。これ、リアルタイムで見てみるととても面白いのですが、それはさて置いて…そういった比較もできます。それはアカデミアというか、研究上の話はそうです。ただそれを、受け入れるか、受け入れないか、良しとするかしないか、あるいは同じ次元として比較するか。これは人それぞれが考えてしかるべきだと思っています。ただ僕は、どちらがどれだけ被爆するのかを計算するのであれば喜んでやります。それ以上のことは皆さんが決めること、自分たちで決めることだと思っているので、正確に評価する方法は提供しますが、それ以上のことは述べることはないです。

 これって、先ほどの林檎のことと通ずる所があって、「選択」できるわけですね。青森のものを選ぶことはできるし、応援のために食べる人もいるでしょうし。飛行機の被爆と敢えて比べて、場合によっては行かせるという人もいるでしょうし。そもそも比べる話じゃない、と言って行かせないと判断する人もいるでしょうし。

 ただ悲しいのは、僕が悲しいと思うのは、学校でこの話題すらできないというのが悲しいと思っています。

 なぜ、こう思うこと自体がおかしいのか?全然いいじゃないですか、だって、誰かを貶めようとか、誰かを批判しようとかという話じゃなくて、「私はこう思うんだけど」、と言えないのが今の世の中なんだと思っているんです。

 もちろん、その前提の話となる数値が間違っているのなら、それはダメです。なので、まずはきちんと測ったその数値を基に、さあ、皆さん考えましょうね、なんですけど、6年経ってもまだそれができないんです。ということはきっと10年経っても同じだと思います。これがまずは大きな壁だと思っていて、私が今なんとなく林檎の話題を提供させていただいた、そしてその飛行機の話、それは永遠に議論が落ちつくところはないと思っています。それはその壁があるからです。と、僕は思っているんですが、皆さんはいかがでしょうか。

 

◆(女性)

 大人ならいいんです。相手が子どもですからね。そのことをまず考えてほしいと思います。なのに、なぜ教育委員会は情報を出さないのか。

 

◆(男性)

 ○○と申します。今の話と逆の話になってしまいますが… 川場の2ベクレルの林檎というのを川場の林檎と限定しないで純粋に2ベクレルの林檎だと考えた時に…僕は迷うのは、それが数字だけで判断するのではなくて、どういう林檎かということを考えてしまう訳で。先ほど話にありました、生産者側だったりとか、例えば、自分の親が作った林檎だったりとか、僕のために、僕の子どものために愛情をもって渡された林檎が2ベクレルだった時の葛藤は圧倒的にあるな、と。で、そこでその数値というが、2であれば、僕は恐らく食べると思うんですが、2なら食べるのか、5なら食べるのか、10なら食べるのか、といったところは、多分どこに線を置いても、葛藤になるんじゃないかな、と。

 で、先日あるお母さんと話していた時に、その方は絶対にそんなのは食べさせたくない、と。なぜかというと、2010年にちょうどお子さんが生まれて、事故の後、お子さんの白血球の数値が急激に下がったと。で、お医者様からも危ないと言われて、岡山に移住をされて、結局また戻って来られたんですが、そういう、青ざめるような体験をした人にとって、それは0.1ベクレルでも摂りたくないという気持ちというのはあるんだなと知りました。つまり、個々の体験と、その林檎のありようと、単純に数字だけでは判断できないな、と最近感じています。

 

●(小豆川先生)

 今のご意見、本当にその通りで、さらに追い討ちをかけるように、そこに数値を出して行こうと思うんです。今は、2です。じゃあ、事故直後の林檎はどうだったか、という話です。じゃあ10年先の林檎はどうなるの? 多分、この先はあまり下がってこないと思いますが、ただ、震災直後だと、もっと桁が上がったレベルだと思います。だからその時に食べていて、今は食べないのはどうなの?と数字上はなりかねない。なので、今のお話にもう一つ、時間軸を加えたかったんです。時間とともに考え方も変わってくるんじゃないか、ということも含めて、さらに一人一人の考え方が展開できると僕は思っています。

 

◆(男性)

 世田谷区で教員をやっています。私達は、区との交渉をずっとしてきているんですけど、子どもたちを放射能から守る要請書を、もう13回目出しているんですが、なかなか回答を得られない状況です。中身は甲状腺のことが心配されているので、甲状腺を中心とした健康調査を実施してほしいということ、それから、放射能の数値を保護者児童にきちんと示していくこと、それから、場所の変更を含めて至急検討すること、給食の食材の測定が行われていますが、その数を増やしていくこと、それから脱原発の立場にたった教育を推進していくこと、それから福島から避難して来ている子どもや家族の経済的健康的支援をすること…とずっと言って来ています。

 なかなか回答を得られなかったんですが今回、お話を伺って、あと皆さんの活動を知って、内容を変える事ができるなと思っていて、交渉の中で進んだことがあったんだということを知って、少し検討していきたいなと思っています。 その上で先ほどの話の続きですが、元々の基準値の100ベクレルというのは、妥当なのか、どう考えるのか、ということを伺いしたかったです。

 

●(小豆川先生)

 妥当か…というのは私も何とも言えないです。役人が決めた値なので。逆に言うと、決めた時に「守れそうだな」と思ったルールではあります。つまり全然守れないルーツを作っても意味がない訳で。一応、言い訳というか、名目としては、一年間で追加被ばく線量が1ミリシーベルト/year 、それを超えないようにするために、普段の食事でどれくらいのベクレルにしておけばいいのか、ということを逆算してみると、食品は100ベクレルにしておけば、年1ミリの追加被ばくを超えないね、ということが背景にあります。 ただ、やっぱりそれは事故直後に守れそうになかったので、最初は500ベクレルという暫定基準があった、1年経って100が守れそうだね、ということになって100に変わったという経緯があります。

 このように、守れるかどうか、という話でもあるんで、なかなか何とも言いにくいです。本来、人間が放射線に対して、どれくらいの耐性を持っているのかという基準で考えれば、世界中同じ基準になっているはずです。国によって全然値が違うのは、国の事情があるからです。今回の福島原発の事故を受けて100だったら守れそうだね、というのがベースにあって、で年1ミリだね、というのがあって、決まってきているわけで、妥当かどうか、ということは私からは何とも言えないのが実情です。

 

◆(女性) 

 厚木から来ました。100を守れるかどうかというお話ですが、その守れる、というのは私達、小さい子からお年寄までが守れる、ということなのか、生産者側が守れる、ということなのかちょっとぶれたと思うんですよね。国が勝手に決めたことで、私達のために決まったことではない、と風説として通っていたところがあって、そこの部分のぶれについて伺いたいです。

 

●(小豆川先生)

 よく私達は小さい子に対しての被爆をなんとか守ろうということで、一番小さい、乳幼児とかの被爆を考えるんですけど、計算上、一番被爆を食らうのは高校生くらいです。いっぱい食べるからです。確かに、小さい子は小さい子で良くないんですけれど、食べる量がそれほど多くないので、一番食らっちゃうのは、バカバカ食べる中高生、区分上は17歳以下となっているんですが、それくらいの子たちが、耐性はあるけれどそれ以上にいっぱい食べちゃうので、彼らへの影響を一番低くしようと言うことで、小さい子からお年寄りまでの中で一番影響を受けやすい高校生をターゲットに、それで年1ミリを守れる様に設定されていはいます。だからそれ以外の世代の人たちは、それより低い、と計算上はなります。

 

◆(司会)

 補足させていただきますと…今おっしゃった追加被ばくは、ICRPの基準、いわゆる日本の本来の法律で行くと、追加被ばくと言うのは自然放射線とか飛行に乗った被爆以外に、1ミリシーベルトを浴びるのは守られた、ただそれは食品だけではなくて、食品以外のモノを含めてなのに、厚労省の食品安全委員会は食品だけで1ミリシーベルトとカウントしているので、気持ちだけでなく、なんとなく、もやっとしています。

 

◆(女性)

 ○○と申します。世田谷区はバイオマスの施設を作っていて、自然エネルギーを世田谷区に導入しています。川場村は森林が多くて放射線量も高いのではないか、と思って、だいぶ質問をしたにもかかわらず全然お返事を頂けてないので、今日この機会に小豆川先生はどのように思われているか、もしくはそちらにいらして調べていらしたら、教えてください。

 

●(小豆川先生)

 お見せしているマップの通りです。全部の森かというとそうではないんですが、ハイキングコース、これはヒロイド原という小学生が実際に歩くコースの中の空間線量率をとっています。ここは、「なかのビレジ」というところでして、この辺は青い点で示している通り、結構低めですが、それ以外はちょっと高めの黄色い点になっています。こんな感じで、ぜひ、ウェブで、一生懸命上げたんですよ…他にも奥日光のコースとか、21世紀の森とか、よかったら鉱石山も行きましたし、「なかのビレジ」も沢山歩きましたし、「ふじやまビレジ」周辺も沢山歩いていますので。ぜひグリグリして拡大して見てください。

 ということで、森の中で言えば、周辺よりは確かに高いです。森の中で除染基準値を超える地点があるかというと、本当に、所々にあります。たとえば、ここ、ある1カ所に、ちょこちょこっと赤い点があります。多分、しばらくすると、下の方に移動して行くんじゃないかな、と。こちらが山で、こちらが谷ですので、多分、また場所が変わってくるんだと思います。

 

◆(女性)

 世田谷区から来た○○と申します。せっかく来たので…。今6年生の娘が、今まさに日光に行っていて、去年も川場村に当たり前のように行きました。もちろん林檎ジュースも林檎パイも食べたんですけど。毎年お話会とかあれば行っていて、お話を聞いて、ああ、今の状況はそうなんだなぁ、汚染地なんだなという思いをしながら…  

 でも、子どもが、みんなで行く授業とか、みんなで行く旅行に行かせない選択は、親としてはできないんですけど(涙)、でも、心配と言うか…。こんなことになっちゃったんだなぁ、という思いで6年間過ごしていました。 もちろん、いつもそればっかり考えて生きているわけではないですけど。さっきも2ベクレルくらいだとウチでは食べるかなと思うんですけど、他のご家庭で『うちは食べません』って話を聞くと、やっぱりダメかなとか思ったりとか。でも青森と長野は大丈夫って話を聞くと、その都度選べるなとか、その都度、思えていいんですけど。 でもやっぱり…。

 校長先生とも話をさせていただくんですけれども、聞いてくださって、特にそれで終わりみたいな感じで…。 で、下に次女がいて、その下にも子どもがいて、同じ地域の学校に行っていて…。 あと川場にも凄く大切な知り合いがいて、震災の前までは年長さんの夏と冬は合宿に行っていました。だからそんな思いもあったりで…質問ではないんですけど、他にもみなさんの思いお話を聞きたいと思います。

 

◆(女性)

 世田谷区から来た○○です。今年5年生の子どもがいます。ハイキングをどうしようか、川場に行かせるかどうか迷っています。校長先生がよく考えてくださっていて、先日の説明会の冒頭で『川場のことで、みなさんが一番心配されているのは、放射能のことだと思います』と言われて、小豆川先生の勉強会のことをお話してくださって。最初は行かせないつもりでいたのですが、もしかしたら、この校長先生だったらお任せして良いかなと思い直しているところです。 ハイキングコースに関して、学校の先生方への提案というか、こういう風な被ばくの避け方などあれば、アドバイスをお聞きしたいです。

 

●(小豆川先生)

 これは、校長先生の意識にすごく関わるところが大きい話です。 僕が校長研修会で凄く強調しているのは、『知らなかったというのは罪である』ということです。『事故直後ならいざ知らず、6年経っていて、何も知らないで連れて行くのは、遥かに罪ですからね』、ということだけは、強く言っています。

 さらに言えるならば、例えば、「端っことかにはセシウムが溜まっているから、敢えてそういう場所には近づけないようにしたら良いんじゃないですか」とか。そういった、今まで6年間やってきた情報を全て提供して、避けられる方法は提案しています。  

 でも、たまに「知らない」っていう校長先生もいます。それだけはやめてくれ、それだけで話は変わってくるよ、と言っています。

 あとは校長先生がどれだけ意識を持ってやってくれるか、です。

 たまに、校長研修会で話を聞いたけど、実際には担任の先生には伝えない、なんてこともあります。それだと全然意味はなくて、実際に連れて行く先生のところにも、もし呼ばれれば喜んで行きますし、少なくとも今日の校長研修会でお話ししたことは現場の先生方には伝えてください、と言ってあるんですが…意識の問題かなと思いますので、ぜひ各学校の先生のところにも行って、どうなっていますか?と聞いていただければと思います。

 

◆(司会)

 この会場の中には過去に川場を経験している保護者もいます。

 私もそのひとりで、子どもは上が高校一年で下が六年生で、上の子の時は震災の翌年で、陳情とか盛んにやってる最中だったんですけれども、家の中でも旦那さんと話すときでもケンカっぽくなったりとかするわけですよ。学校ともケンカ腰、家庭内でもケンカ腰みたいな…悩んだ挙句の果てに行かせたんですけれども。ただ、時間の経過とともに、という小豆川先生の話にもありましたように、それによって何をどう捉えてどう対応するのか、変化すること自体は決して悪いことではないと思っていて、私は結局、下の子が川場に行ったときは、小豆川先生が校長会で川場の説明を始めたところだったので、校長先生のところへ行って、上の子が行った時のような経験は二度としたくないので、小豆川先生の話をしっかり聞いて、できるだけ被ばくを避ける方法を考えてほしいってことは直接言いに行きました。うちの校長先生の場合は、それを凄くよく聞いてくださって。小豆川先生の話を聞いたことで凄くよくわかったと仰っていて先生によっては、そういう先生もいらっしゃいます。小豆川先生の言われたことを全部踏まえて、やれることはやるという対応をしてくださったので、私は娘を安心して行かせることが出来ました。

 被ばくを避ける。避けないってことの判断もあるんですけど、学校とどう信頼関係を築けたか、人間関係的なものと天秤をかけるような作業をずーと続けてきて、非常にストレスを感じましたし、消耗もしたんですけども、5年間の間に変わってきたこともたくさんあるなと思っていまして。その中に、この先の希望もあるのかなと思っています。 これから5年生になるお子さんのお母さんのご意見をこの場で伺いたいです。

 

◆(女性)

 世田谷在住で、上の子が中学3年なんですけど、5年生の時には川場には行かせませんでした。それまで、学校とも散々話をしたんですけれども、先生は分かってくださった上で「選択はご自由です」と。結局うちは行かせなかったんですけれども、学年で行かせなかったのは、ウチの子一人でした。うちの子のことを思って泣いた女の子もいました。我が家ではぶれないことが大事だと思って、最初から行かせません、と。でも校長先生には、前日まで「行ってほしいんだけどなぁ」と言われました。 担任の先生方にも色々とお話をしていたのですが、結局、後から、ハイキングの時には、子ども達が枯葉の上に座らされていたと聞いて、あ、やっぱり行かせなくてよかった、先生方、分かってくれてなかったんだなぁ、と思いました。

 今日の話を聞いて、年々、小豆川先生のレクチャーもあって、学校の対応も変わってきていると思いますが、それでも…下の子は3年生で2年後なんですが、ウチはもう行かせない、と決めています。

 例えば、ハイキングに参加する/しないのアンケートが事前にあったりして、参加したい子だけが参加する、ということになったりすれば、もしかしたら気持ちが変わるかも知れませんが。 でもどこで被ばくするか分からない、色々なことが分からないので、少しでも(放射能が)あると分かっているのであれば、敢えて行かせたくないな、と思っています。

 我儘と言われるかも知れませんが、子どもを守るのは私の責任なので、農薬とかもそうですけれど、何で体を傷つけるのか分からないので、避けられるものは避けていきたいと思っています。

 

◆(女性)

 中学3年生と小学6年生の子どもがいます。上の子のときは、震災から数年ってこともあって当然行かせませんでした。その時に、説明会に出たんですけれども、校長先生からは一切説明はなく、お友達のお母さんにちょっと振っても、何のこと?くらいの感じで全く関心がないような状況でした。

 それから三年後の昨年の下の子の時に、もう行かせる気はなかったんですけど、説明会だけは聞きに行こうと、聞きに行きました。で、やっぱり小学校からの説明は一切なく、休んでも欠席扱いにならないという情報もありませんでした。担任の先生も、欠席扱いにならないことを知らない状況でした。ですので、私から伝えて、しっかりやって下さい、と言ったんです…。

  二人ともそんな小学校でしたので、公立に対して、私は絶望しました。学校とは散々やり合いました。

 で、私立はどうなんでしょうか?どうして、公立の子ばかりが、そういう風に、選択の自由がなく、「知る」こともできない。本当に興味があれば調べるお母さんがいると思うんですけど、興味がないから知らない、だから子どもが被爆していく。 もちろん、本当に被爆するかは分かりませんが、でも当然、「知る権利」ってあるべきだと思うんですね。

 

●(小豆川先生)

 もちろん、僕も私立を全部を知っているわけではありませんが、どちらかというと、オープンな学校が多いと思います。何校かグラウンドの中のホットスポットを測ってくれって頼まれたこともありますし。もちろん全てではないですが、いくつかの学校では、比較的フレンドリーでした。

 ただ、私が思うのは、公立であれば、自治体がどれだけ放射線に対してオープンかどうかが大事で、昨日は、文京区の学校を片っ端から測っていました。文京区は「どんどん測ってくれ、敷地の中に、ホットスポットがあったら嫌だから」と言われて、僕、もう四年連続測っているんですけど。お茶の一本ぐらい出してもらえればなといつも思っているんですけど(会場笑)。あそこは、もうどんどん測ってほしい、と。

 で、文京区でも移動教室あるんですけど、震災後、やめました。違う場所に変更になりました。柏から下田だったかな、はい。

 つまり公立に関しては、自治体がどう判断するか、によるんです。例えば、僕、江戸川区から出禁食らっていて、測るなと言われていて。自治体によって考え方・対応は全然違うという感じです。

 

◆(女性)

 区によっての違いって…世田谷区は、脱原発の区長だと思うんですが、なぜ川場…汚染されているところに子どもたちを送り続けているということですよね。区によっての違いって…

 

◆(司会)

 …桃野さん、お願いしてよろしいですか?

 

●(桃野世田谷区議)

 世田谷区議会議員の桃野と申します。 確かに文京区もそうだし、東京都以外の自治体で川場とユウキョ(?聞き取り不可)してたところが実際やめたりとか、自治体によって考え方がまちまちですね。

 私、今ここに来ているくらいですからお分かりだと思うんですけど、当初から川場移動教室は中止にして他の場所にするべきだと、議会の中でも我々の会派はいち早く言っていたんです。

 ただ、これは行政の判断ですから。行政はある程度強い裁量権を持っているんですよね。はっきり言ってしまえば、議会と行政って二元代表制だけれども、圧倒的に行政の方が決められる力が圧倒的に大きいんですよ。我々が何を言ったって最終的に撥ね付けようと思えば、いくらでも撥ね付けられるんですよね。

 つまり、行政が自分たちの裁量権で決めたことについては、我々が議会で喧々諤々やって動かなかったものについては、もうしょうがないんですよ。はっきり言ってしまえば、白旗揚げるしかないんです。向こうの方が決める権限が大きいわけですから。最終的には選挙で決めてよ、って話になっちゃうんですよ。その区長が嫌だったら、選挙で落とせ、という話で、裁量権を持っていることは向こうに任されていることだから、やれっということになるんだけれども。

 ただ、先程、小豆川先生の話にも出てきましたけれども、行政が裁量で決めたことに決めたことの根拠はなん何だってことを、きちっと明らかにしてくださいよ、と。

 それは情報公開ですから、世田谷の区長も自分は情報公開を大事にしているんだと言ってきているんだから、それはオープンにしてくださいよ、とわれわれも言い続けるし、世田谷区民も言い続けなきゃいけないことだと思うんです。ああやって調べて、ほとんどの場所は基準値以下でした、0.23μSv/hを超えていないけど、ところどころ超えているところがあるっていうのをどうとらえるか、ってことだから、それは区長なり教育長なりが、そこに少し基準値超えがあるけれど全体としては安全なんだ、って決めちゃったら「全体として安全です」、って全体として丸めた言葉で言っちゃうから、皆さんの受け止め方がまちまちになっちゃう訳で。そうじゃなくて、ところどころ高い所があるけど、ここは、飽くまでもピンポイントで、だからここを避ければ大丈夫だと我々は判断した、とかね。きちっと情報を外に出してくれるだけでも、皆さんの捉え方って違うと思うし。

 もう一つは、区長なり教育長なりが、学校できちんとそういうことを説明しなさいよ、と言えば、こと済む話でね、今は学校の裁量に任せているんだ、と教育委員会が言うのは、はっきり言って逃げている話でね。

 放射能に限らず、組体操もそうですよ。世田谷区の中で組体操をやっている学校もある、やってない所もある。これも学校の判断に任せていますから、我々は触っていません、という答えが返ってきたらね、それはリーダーシップが足りてないし、もっと言えば逃げてる。逃げてるんじゃないですか、と言いたくなるような話でね、結局これも、行政の裁量として、安全だと判断したならそれは最終的には認めざるを得ないんだけれども、じゃあ、その判断した根拠は何かというのはやっぱり明らかにするべきで、訴え続けるべきだと思います。

 

◆(女性)

 でも川場については、安全だと認めてないから、欠席をしても欠席扱いにならない、ということなんですよね?

 

◆(桃野区議)

 いや、違います。世田谷区は安全だと言っています。安全だから連れて行くんです。安全でなければ連れて行きません。安全なのに行きたくないと言う人がいるから、それだったら行かなくても大丈夫にしますよ、と言っているだけで、川場は安全で、安全だからこの行事は中止にしません、というのが世田谷区のスタンスです。

 

◆(守る会)

 確かに、矛盾していますよね。安全だと言っているのに、欠席者は欠席扱いにしない。つまり安全と言いきれない、または人によっては安全だと思わないことを認めている、ということで、すごく矛盾していると思います。

 2011年以降、ずっと安全だと言いつつ、除染します、と。これも矛盾ですよね。だから私達のモヤモヤというのは、そういう矛盾がありながら、だけどもその矛盾を隠しながら、ここまで来ているのがこちらからすると納得できないところだと思うんです。  

 あと、先ほどの私立のお話で、私もリサーチをした訳ではなく、知り合いからの話だけですが、私立の学校では、私の聞いた限りでは、本当にすぐ対応した学校があると聞いていまして。ある学校では、岩手への移動教室を即中止。で5年経ってそろそろもう戻りましょうという学校からの提案があって、全校の保護者に対してアンケートをとったら7割くらいの保護者が「まだ早い」という回答だったということで、結局まだ戻っていない、とい聞いています。別の学校では、給食中に校内放送で、その日の食材の産地を全部言うとか。そういう風にきちんと保護者の考えを聞いて汲み取ってやっている、そういう学校もあるんだなとすごく羨ましいと思いました。

 公立に関して言うと、なぜこれほど辛いのかなと考えると、要は、選択肢が与えられない、情報もなければ選択肢もない、というところが辛いんだと思うんですね。

 先ほどの2ベクレルの林檎もそうですが、「選択した結果食べる」なら、良いと思うんです。自分で決めて選んで食べるなら良い。しかしそれを義務教育の中で、先生にこれを食べなさい、これは安全なんだと言われると、子どもは選べませんし、授業は強制力がありますから、「安全だ、安全だ」と言われながら食べさせられることに、こちらとしては抵抗感があるんだと、私は思います。

 

◆(女性)

 区外在住ですが、埼玉の私立中学校の男子ですが、うちの学校は、こういうことに無関心で今度、会津や尾瀬に行くんですが、とても心配で。学校からは何の説明もないです。で、川に入ったり、山の中で遊んだりとか。で、都内の学校説明会に行っても、平気で海で泳がせるとか、遠泳を何十年と続けていて事故もないだとか、北関東に移動教室に行くだとか。で、お尋ねしないのですが、山の中でマウンテンバイクをやる時に気をつけることがあれば…教えてください。

 

●(小豆川先生)

 山に関して言えば、セシウムは窪地の中に良くたまる、というのが良く知られていることですので、それが一つです。 あと、マウンテンバイクについては…(会場笑) ◆(女性) 道路じゃない、山の中を歩き回るとか、通過する時に気をつけることはありますか? 窪地とか水たまりとか…でしょうか。

 

●(小豆川先生)

 そうですね。一般論として、アスファルトよりもハイキングコースの方が高いです。森の中ですから。森の中の道の方が高いです。

 

◆(男性)

 森は中に放射能があるんですか?

 

●(小豆川先生) あります。

 

◆(男性)

線量は高いんですか?

 

●(小豆川先生)

 高いです。高いです。

 

◆(女性)

 今おっしゃっているのは外部被ばくですね?

 

●(小豆川先生)

 はい、そうです。

 

◆(女性)

 砂埃が起きて吸っちゃった場合は、内部被爆ということですよね?

 

●(小豆川先生) そうですね、そういうことになります。

 

◆(女性)

 5年生の娘がおります。まだ5年に遠い時は、参加するしないを考えていたんですが、やはり今年になって、娘の性格も考えて難しいなと思ってきて。経験として参加させてあげたいという気持ちもありまして。

 そこで、子どもに対してどういうことを気をつけたら良いか、ということを伝えたいんですが、その伝え方とか、そのポイントも、なかなか自分でも色々調べると情報はあるんですが、なかなか細かくは言えず…。どういうことを子どもに気をつけるように伝えればいいのか、悩んでいるところです。

 

●(小豆川先生)

 本当に私の個人的な考えですが…子どもがそんなことを考えなきゃいけない移動教室なんて、すごく辛いと思うので、やはり担任の先生にセシウムはどうなっているんですか、と一言聞けば良いと思います(会場静まる)。 

 要するに、子どもが考える必要はなくて、大人がケアしなきゃいけない話ですから。そこのところ、どうなってるの、と子どもから聞いてもらうとか、あるいは直接、親から先生に聞いてもらえば良いかと思います。子どもにどうこう伝えるって、なかなか厳しくはないでしょうか。

 

◆(女性) 厳しいですが、一応、行動として、やっぱり隅っこは行かない方がいいのですよね?

 

●(小豆川先生)

 そうですよね。でもやっぱり楽しくなっちゃうと、もうね、なかなか難しいですし。

 

◆(女性)

 学校の先生から、どう子どもに伝えるかと言うところも、今度の説明会に向けて先生に働きかけたいと思っています。何も知らず子どもが行って楽しく過ごすというよりは、まあちょっと分かって行くのがいいのかな、と思います。

 

●(小豆川先生)

 そうですね。私も小学生にお話をする時には、こういう所には溜まるよーという風には言っていますが、やっぱり子どもって、そういう所が好きなんですよね。積極的に泥んこの所に突っ込んでいくので…ヤメローと思うんですが(笑)。

 ただそれをケアしてもらえるように、先生方、あるいは引率の方々に良く分かってもらうという状態を作ってもらうようにしています。

 

◆(女性)

 そうですね、やっぱり溜まる場所が動いていくということも、先生に対して、どうされるのか、目に見えないだけに、学校はどう考えているのか、知りたいと思います。

 

◆(司会) 一点だけ…。この冊子「放射能きほんのき」、販売しているわけではないんですが、お子さま向けにとてもよく書かれているので、読んでもらうのも良いですね。勉強する良いきっかけだと思います。小豆川先生の後続をつくるためにも、移動教室を機に勉強をするというのもアリだと思いますので。危ない、ということではなく、放射線ってこういうもんだよ、って勉強するには良いテキストです。

 

●(女性)

  世田谷区在住です。長女が原発事故直後、2011年の9月に川場村に行くことになりました。そして、息子が来年行くことになりそうです。

  経験から申しますと、先生に聞いても先生の方に知識がないので、当時、私はこの会でつながった、いろいろな会に行きまして、資料を集めて提出しました。「あなたは放射線のプロですか?」と校長先生に聞かれました。「いえいえ、私は保護者です。興味があるので私は資料をもってきました」と言ったのですが、その時に、うちの校長先生は、区内でいちばん動いてくれた校長先生だったと思います。その資料のなかで21世紀の森がいちばん汚れていると分かったら、ハイキングコースははずしてくれました。イモ堀りをしたものを川場村から届けてくれて、それが届いたら給食で出すということになっていたのですが、それも止めてくださいました。イモはこっそり処分してくれたようなのですが、先生たちが持ち帰ってくれたのかもしれません。林檎は個人個人で食べなくてもいいし、林檎ジュースも飲まなくていい。娘は直前まで行くか行かないか迷っていたので、担任の先生は、出発の朝まで悩んでくれていいと言ってくれました。娘は行くことに決めました。当時は水も汚れている状態だったので、行くのであれば水も持っていきたい。娘一人だけペットボトルを出すのは批判の目にさらされるので、川場の方々が「奥でみなさんの水筒に入れるときに、お水をこっそり入れますから」と言ってくださいました。ハイキングはするのですが、道の真ん中を歩かせますと言ってくれました。本当にいろいろ対処してくださいました。

 後日、先生になぜ、そこまで動いてくれたのですかと聞いたら「お母さんの人数が多かったからです」とおっしゃってくださったんですね。一緒に訴えたのは8人いたんですけど、そのとき来られないお母さんも含めると10人くらいいますと話をしたので、一人で行くよりも仲間を見つけて何人かで先生に訴えた方が効き目があるんじゃないかなと思います。

 ただ、あまりにも動いてくれたので、校長先生は、校長会で批判にさらされたみたいなんですね。いいことだと思うことをしたのに、飛び出ちゃいけない社会ってなんなんだろうなと、今も思います。

 そして、下の子が来年行くことになるのですが、また、仲間を探さなくちゃいけないのかなっていう、もやもやというものがあって、あまりにも放射線のことを話すと「モンスターじゃない?」ってママ仲間からも思われてしまう状況があることに疑問を感じているんですね。8人集まったなかには、原発事故直後だったということもあり、情報がなにもない中で心配していたっていう人もいて、今は、もう忘れちゃっている人もいて。「え、まだ考えなくちゃいけないの」というお母さんの方がけっこうまわりにもいて。例えば食事をしながら、少し小ネタにはさむのですが、それでも流されちゃう感じもあり、どうやって全然興味のない人に「実はこうなんだよ」って言うのがいいのかが、自分の課題でもあり。あまり価値観を押し付けてもいけないし…。地域に仲間がほしいなって思います。

 

◆(女性)

 小3の娘がいます。なぜ文京区が止められて、世田谷区が止められないのか。どうやら世田谷区と川場村は何十年もの歴史があるから、やめたくてもやめられない。保坂区長は反原発ではあるにもかかわらず、やめられないという事情があると知りました。

  不勉強でどういう詳細があるのか私はわからないのですが、一つは五千数百人の小学生が行くことがもたらす経済効果が川場村は手放せなくて、世田谷区もそれによって恩恵も教授しているから、やめられないと聞いたんですが。経済効果というところで、逆に、小学生を行かせることと同等の経済効果を例えば、誤解を恐れず言うならば、例えば、お年寄りに行ってもらう、トラッキングが大好きな老人会の人たちを集めて行ってもらって、とか。そういう代替案を提供することで、だから、小学生は行かせないけれど、代わりにこれをやりますよ、そういうのは議論にすらならないのか。安全か安全じゃない、というのはあまり発展的な議論にはならないので。さきほど、小豆川先生から、そういった議論をする土壌すらないとのことでしたので、そういったことは、世田谷区、議会で話題になったことがあるのか。仮に止めた場合には、どんなことができるのか、不利益ではなく、むしろ、+αにもっていくために、議論ってどこかでできないのかと思ったのですけど。

 

◆(桃野区議)

  まず、前提として「経済効果があるからやめられない」という話だとしたら、大変なことなんですよ。だって、危険だけど、経済効果があるから止められない、という話だったら大変なことですよ。そもそも、世田谷区は「安全だ」と言い切っています。「危険だけどお金の問題で連れて行きます」とは言っていないし、そんなヒトの心のないことをさすがにやらんだろうとは思っています。

 ただ、一方として、中止にしたら「川場に人は困っちゃう」というのも事実ですよね、というのは議会でも我々もとりあげてきて、「大人が行く」というアイデアは議事録にも記されています。子どもはやめましょうよ、大人は多少大丈夫でしょうよ、というようなことも言っちゃっているのですが、それはあくまでも二次的なもので、世田谷区は「安全だ」って言って連れてっているのだから、そこの議論は言っても言っても噛み合ない部分ですよね。

 

◆(男性)

 守る会にお尋ねしたい。おそらく、今日来ているお母さんたちは、どうすれば川場問題と向き合うべきなのかを探りにきているのだと思うのです。じゃあ、ボイコットのスタートをきるにはどうすればいいのか。どんなデメリットがあったのか。体調が悪くなったのか、とか。お母さんたちに「こういうことをしなさいよ」というアドバイスがあれば、今までの経験と知見をお話していただけますか。

 

◆(守る会) ウ

 ウチの娘が川場に行ったのは事故の2年後です。その頃は、陳情が出たりしていて、本当に、今と全く空気が違っていました。放射能に関して心配だという声をあげる保護者が私の周りには多かったんですね。等々力小だったんですが、担任の先生のところに行って資料をお渡しました。で、「放射能が心配です、先生も心配じゃないですか?」ってお話したら、担任の先生がビックリされて「あなたのような保護者は初めてです。まさに風評被害です。人としておかしい。」って面と向かって言われて。「○○ちゃんを休ませたら、居場所がなくなりますよ」って。それで火がついたんですね(会場笑)。そこから数カ月にかけて学区内でお話会を10回くらい開いて、いつ見ても私はビラを配って、「参加してね、一緒に考えようね」って全員に声をかけて。幸い、心強い仲間がいたので、たくさんの保護者に参加してもらって、結果的には30人くらいの欠席になりました。 

 ただ、さっきどなたかおっしゃったように、失うものも多かった。絆が深まった友人がいた一方で、離れていった友人もいますし、なによりも家庭の中は…夫が「そこまでやるのか」という目で見ていましたし、それはそれは、寒い雰囲気でした。

 その頃から比べるといまは落ち着いてですね、今は話しやすくなっていると思います。小豆川先生のレクチャーのお陰で学校の理解も進んでいますし。当時は「クレーム」って言われていたのですが、今は、「放射能のことで相談が来たら丁寧に応じてください」という方針になっているんですよね。ですから、「川場の放射能のことでご相談したい」といえば、校長先生は「来た、来た」って応じてくれると思うんですね。もちろん、校長先生のなかには理解してくれる先生もいらっしゃれば、難しい先生もいらっしゃると思うのですが。

 そして何よりも、私たちには小豆川先生という非常に心強い助っ人がいらっしゃるので、校長先生に、「ぜひ、小豆川先生に学校に呼んでいただいて、5年生の先生や他学年の先生に聞いてもらってください」とお願いすることもできるわけです。小豆川先生、行ってくださいますよね?(笑)ちょうど月曜日も、東深沢小学校で全教師を前にレクチャーをしてくださる予定です。

 こういった形で、いろいろな人の手を借りて、私たちにもご連絡いただけたら、いろいろなアドバイスをしながら、モヤモヤを解消しながら、いい方向にどのように持って行けたらなと思っています。

 

●(小豆川先生)

 コツというのもヘンなんですが、僕も、校長先生とか環境省とか、一番やり合うのは僕の場合は東電なのですが、ものごとを進めるときに1対1でぶつかってしまうのはだめで、上手に折り合いをつけて戦略をもっていかないとうまく、自分たちの主張は通りにくいです。みなさん多分そんなこと言われてもとっくに分かっておられると思いますけど。

 教育委員会あるいは校長先生の立場からして攻めていくと、ダメなことはやっぱりあります。校長先生なんとかしてよ!と言うだけではダメなことが多いです。

 例えば同じ住人として、ですとか、同じ子を持つ親として、とか、そういう別のセクションからのアプローチで行った時の方がうまくいく確立の方が高いです。

 且つ、怒っちゃだめです。怒ってはやはりだめ。ここはこう行った方がいいなんじぇねえの、だとか、読みつつ読みつつ読み切って攻める、という、非常に高度な戦略が求められんですけど、これやって上手く通れば、行きますんで。いや、ウソ、行く確立が高くなりますんで、ぜひ頑張ってやってみてください。

  

◆(女性)

 川場の合宿について詳しくないので教えてください。向こうで食べる食事は、現在どのような配慮があるんですか?まさか100ベクレル以下ならOKということではないと思うんですが、先生が先ほど見せて下さったものは、全て外して頂いているのか、それともこれくらいならOKということで出ているのか…それとも出てきた食事について、何回か測ったケースがあるの、その辺を教えてください。

 

●(小豆川先生)

 ほとんどが川場以外のものを使っていたはずですが、今年の最新の情報は持っていません、ごめんなさい。ただ、お水とかは恐らく現地のものを使っていると思います。 僕が先ほどお店したのは、ファーマーズマーケット、田園プラザという道の駅で売っているものはこれくらいですよ、という例です。

 

◆(守る会)

 最終日にバスで田園プラザに立ち寄るのが、どの学校もコースになっていて、そこでお土産を買うんですよね。それがお菓子を買うなら良いんですが、中にはブルーベリを買ってきたり、野菜を買ってくることかもいて、心配だな、という声があるわけです。

 

◆(女性)

 世田谷区に住んでいて5年生の子がおります。うちの学校はもう川場移動教室が終わっております。色々逡巡があったんですけれども、結局参加をさせました。

 で、私、学校にはちょっと友達がいないんですね。自己紹介の時にいつも枕詞みたいに「自分はモンスターペアレントなんで」という風に言っていて(笑)、なのですごく仲間がいないんです(笑)。

 で、仲間がいないので、しがらみのないお母さんにも、「私、放射能、超気をつけてるんです」って言っていて。

 で、移動教室が終わった後、お迎えの時に周りにいた、それまでお話をしたことのないお母様方に、「もう、めっちゃ心配でしたわー」って話をしたら、「ええ?川場ってそうなの?」というお母さんがいらしたんですね。

 で、よくよく話を聞いたら、震災以来、食べ物にはすごく気をつけている方でした。 

ただ、学校の中、学校との話合いの中では、そういう態度は出していない、ということでした。

 こういうお話会に来ている方々は、本当に少ないと思うんですね。気をつけて、自分で調べて、川場ってそういう所なんだ、って分かっている人ってすごく少ないと思うんです。

 でも震災以降、お水とか食べ物とか、気をつけているお家って、実はすごく多いと思います。

 それなのに学校の説明会の時に、放射能に対する言及はもちろん、ありませんでしたし、お休みをすることが、欠席扱いにならないという話も、一切ありませんでした。

 でも、それに対して、私はすごくアンフェアだな、と思いました。そういうことを皆に知ってもらって、それでどうしましょうか、休ませてもOKです、という所まで説明して初めて、学校側のフェアなあり方だと思いました。            ###